アクティビティ順序設定は、プロジェクトのアクティビティ間の関係を特定して、文書化するプロセスです。
アクティビティは論理的順序関係によって順序が設定されます。
論理的順序関係
最初と最後を除いて、すべてのアクティビティとマイルストーンは、少なくとも1つの先行アクティビティと1つの後続アクティビティに繋がっています。
現実的で実行可能なプロジェクト・スケジュールにするには、アクティビティ間にリードとラグを使用することが必要です。
アクティビティ順序設定プロセスのアウトプットの1つに、プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図があります。
これは、各アクティビティ間の論理的な順序関係を表した図ですが、あくまでも論理的な順序関係を明確にした図であって、最終的なプロジェクト・スケジュールの作成は、スケジュール作成プロセスで実施します。
インプット
アクティビティ・リスト
アクティビティ定義プロセスのアウトプットです。
アクティビティ属性
アクティビティ定義プロセスのアウトプットです。
アクティビティ属性には、事象に欠かせない順序関係や、設定された先行あるいは後続アクティビティの関係を記述します。
マイルストーン・リスト
プロジェクトにおいて重要な意味をもつ日付や決められた期日、イベントに関する情報を確認するために使用します。
プロジェクト・スコープ記述書
プロジェクト・スコープ記述書には、成果物の特性を記述した成果物スコープ記述書が含まれています。
組織のプロセス資産
スケジューリング方法論に関する企業の知識ベースのプロジェクト・ファイル等があります。
ツールと技法
プレシデンス・ダイアグラム法(PDM)
プレシデンス・ダイアグラム法(PDM)は、プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図を作成するためにクリティカル・パス法(CPM)で使用される技法です。
ノードと呼ばれる箱でアクティビティを表して、アクティビティ間の論理的な関係を矢印で表します。
アクティビティをノード(箱)で表すことから、アクティビティ・オン・ノード(AON)とも呼ばれます。
論理的順序関係
PDMには、以下の4つの依存関係または論理的順序関係があります。
- 終了 – 開始関係(FS)
後続アクティビティの開始は、先行アクティビティの完了に左右される。 あるアクティビティが完了すると、関連するアクティビティを開始できる。 - 終了 – 終了関係(FF)
後続アクティビティの完了は、先行アクティビティの完了に左右される。 あるアクティビティが終了すると、関連するアクティビティも終了できる。 - 開始 – 開始関係(SS)
後続アクティビティの開始は、先行アクティビティの開始に左右される。 あるアクティビティが開始されると、関連するアクティビティも開始できる。 - 開始 – 終了関係(SF)
後続アクティビティの完了は、先行アクティビティの開始に左右される。 あるアクティビティを開始すると、関連するアクティビティを終了できる。
PMP試験では、PDMに関する問題が多く出題されますので、特徴はしっかりとおさえておきましょう。
アロー・ダイアグラム法(ADM)
PDMとADMの違いについても、出題される可能性がありますので、ここでADMについても簡単に解説しておきます。
ADMは、アクティビティを矢印で表す方法で、アクティビティ・オン。アロー(AOA)とも呼ばれています。
大きな特徴の1つが、FS(終了 – 開始関係)でしか表現できないことです。
そのため、アクティビティのない関係を表すために「ダミー・アクティビティ」を使います。
PMBOK第3版までは、ADMに関する記載もありましたが、PMBOK第4版から記載は無くなっていますが、念のためPDMとADMの違いはおさえておきましょう。
依存関係の決定
アクティビティ間の順序を定義するために、以下の3種類の依存関係を使います。
- 強制依存関係(ハード・ロジックとも呼ぶ)
契約で要求されていたり、作業の性質上内在するものであったりします。
たとえば建設プロジェクトで基礎工事が完了しないと上部構造物を構築できないなど、物理的な制約に関係することが多いです。 - 任意依存関係(ソフト・ロジック、優先ロジック、選好ロジックとも呼ぶ)
プロジェクト・チームが任意に依存関係を決定もの。通常は当該適用分やのベストプラクティスの知識を基本にして設定されるか、他の順序設定が可能であっても、特定の順序設定が望ましいというプロジェクトの特殊な局面に基づいて設定されます。
任意依存関係を設定することで、恣意的にさまざまなトータル・フロートの値が生み出されてしまい、後にスケジューリングの制限を受ける場合があるので、十分に文書化することが重要になります。 - 外部依存関係
プロジェクト・チームのコントロールの及ばないプロジェクトの外部との依存関係を指します。
リードとラグの適用
プロジェクト・チームは、論理的順序関係を正確に定義するために、必要となるリードとラグの依存関係を決めます。
リード
先行アクティビティの完了を待たずに、後続アクティビティを前倒して開始できる依存関係のこと。
例えば、ビル建設で基礎工事の完了前に上部構造物の資材を搬入するケースなどは、このリードに当てはまります。
ラグ
先行アクティビティが完了していても、後続アクティビティの開始を遅らせるような依存関係のこと。
例えば、基礎工事は完了したが、10日後に上部構造物の構築を開始するケースなどは、このラグに当てはまります。
スケジュール・ネットワーク・テンプレート
標準化されたプロジェクト・スケジュール・ネットワーク図のテンプレートを使うことで、プロジェクト・アクティビティのネットワークの準備を迅速に実施することができます。
標準化されたテンプレートは、プロジェクト全体あるいは一部に使えるものだったりします。
プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図の一部をサブネットワークや部分ネットワークと呼びます。
アウトプット
プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図
プロジェクトのスケジュール・アクティビティおよびアクティビティ間の論理的順序関係を構造的に図示したものです。
プロジェクト・スケジュール・ネットワーク図は、プロジェクト全体を詳細なアクティビティで構成することも、一部の集約アクティビティを設けて構成することも出来ます。
集約アクティビティとは、概要レベルに集約された関連するスケジュール・アクティビティの集まりで、「ハンモック・アクティビティ」とも呼ばれます。
プロジェクト文書更新版
以下の文書が更新されます。
* アクティビティ・リスト
* アクティビティ属性
* リスク登録簿
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6.2 アクティビティ順序設定 is a post from: ネットワークエンジニアを目指して